中学3年生の男子生徒と僕の対話:親からの自立と「自分で決める」ことの大切さ

雑記帳

中学の美術教師をしている僕は、これまでたくさんの生徒に出会ってきました。その中でも印象的だった男子生徒の話を記しておきたいと思います。

その男子は中学3年生。真面目だけど、いわゆるオタク気質。勉強は得意ではなく、友達も少ない。当然、女子にモテるタイプでもない。美術部に所属していたこともあり、放課後によく世間話をしていました。

ある日、彼が美術室にやってきて言いました。
「先生に話したいことがあるねん」

普段通り「どうしたん?」と返すと、少し言いづらそうな様子。そこで準備室に呼んで、2人で話すことにしました。


父親との軋轢と母親との共依存

「僕、こんなんやからうまく話せないねんけど…」
彼は自分の言葉が出にくいことを自覚していました。

「まぁ、ええ。ゆっくり話してみぃ」

しばらく沈黙したあと、彼は口を開きました。
「最近、僕、アカンねん。…オトンが、また嫌なこと言うてるねん」

彼は中学1年の時、父親の意向でラグビー部に入っていました。父は一人息子を「逞しく育てたい」と思っていたからです。しかし、彼の内向的な性格には合わず、怪我をして早々に退部。その後、母親の薦めで美術部に入ったという経緯がありました。

中学3年生になり、進路を決めなければならない時期。父は「外部に出ろ」と言い、母は「このまま高校にエスカレーター進学でいい」と言う。その間で彼は揺れていました。

話を聞いていくと、母親との関係がただの「優しさ」ではないことに気づきました。掃除、洗濯、持ち物チェック、制服の用意。さらには同じ部屋で寝て、時には入浴まで一緒。そこに過干渉と共依存の影が見えたのです。


「お前は誰や?」

僕は彼に問いかけました。
「お前は、誰や?」

「?」と戸惑う彼に、続けます。
「お前はお父さんのもんか?お母さんのもんか?違うやろ。お前はお前のもんやろが」

彼は反論しました。
「でも、まだ親の言うことは聞かないといけないし…」

「アホ。それは親の言いなりになれってことやない。親の意見も取り入れながら、自分で判断するってことや。最終的には親とは離れなきゃいけないんやで。いつまで親任せにするつもりや?」

「でも、僕は頭悪いし、誰かに決めてもらった方が楽やもん…」

「それで今困っとるやないか。違う意見が出たら、お前はどっちかを選ばなあかん。その選択を人任せにしとったら、一生迷い続けるだけや。ウロウロして時間を無駄にするぞ」

僕は少し強い口調で突き放しました。
「お前の人生はお前のもんや。誰も責任取ってくれへんぞ。今回がその第一歩や。勘でもええから自分で決めろや!」

彼は呆気に取られた顔をしていましたが、その言葉はしっかり届いていたようでした。


音楽との出会い

話を終えて部活に戻ろうとした時、彼が言いました。
「先生、今の僕にお勧めの音楽ってない?」

僕は即答しました。
「筋肉少女帯やな。大槻ケンヂの歌詞の世界、きっとお前に刺さると思うで」

後日、彼はアルバムをすべて聴いたそうです。弱っていた彼に、その世界観は深く刺さり、強い共感を与えたようでした。


その後の彼

今、彼は神奈川県で自衛官として働いています。たまに連絡が来ますが、あの時の会話が強く印象に残っているといつも話してくれます。

あの瞬間、僕が少し突き放してでも「自分で決めろ」と伝えたことが、彼の人生にとって大きな転機になったのだと思います。教師として、そして一人の大人として、あの対話は忘れられない経験です。


まとめ

親の期待、過干渉、依存関係。多くの中学生が少なからず抱える課題です。しかし、最終的に人生を選ぶのは自分自身。
この男子生徒のように「自分で決める」ことから、未来は動き出すのだと思います。

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