起立性調節障害と不登校の中学生に寄り添う|焦らず回復へ導くサポートの実例

雑記帳

1. 起立性調節障害とは

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)は、小中学生に多く見られる自律神経系の不調です。
血圧や心拍数の調整がうまくいかず、朝起きられない、立ちくらみや頭痛、倦怠感などが症状として現れます。特に思春期の子どもに多く、不登校の背景にこの病気が隠れていることも少なくありません。

  • 朝起きられない
  • 学校に行けない
  • 夜型生活になる
  • 学習の遅れへの焦りや自己嫌悪

こうした悪循環に陥りやすく、本人や家族も悩みを抱えることになります。


2. 中学2年生のある生徒のケース

私が担当していた美術部の中学2年生の女子も、まさにこの状況にありました。

1学期は普通に登校できていましたが、夏休みを過ぎてからは学校に来られなくなり、不登校状態が続きました。
真面目で成績も良かったため、勉強の遅れに強い焦りを感じるようになり、さらに昼夜逆転の生活に。

真夜中にはTikTokやYouTubeのショート動画を延々と見て過ごすようになり、「非生産的な生活」に自己嫌悪を抱きながらも直せない…そんな悪循環に陥っていました。


3. 学校に顔を出した日

久しぶりに彼女が学校に来て、美術部にも顔を出してくれました。
私はできるだけ明るくフラットに声をかけました。

「久しぶりやな。元気にしてたか?」
「まぁ、ボチボチです」

会話の中で彼女は少しずつ本音を話してくれました。

  • 「全然起きられへん」
  • 「寝てない。めっちゃ眠い。でもクラブに来たかったから頑張った」
  • 「カウンセラーや医者に相談しても良くならん」

焦りと不安が強く、自己嫌悪の気持ちがにじみ出ていました。


4. アドバイスとして伝えたこと

私は彼女に次のように伝えました。

  • 起立性障害は「病気」だから仕方ない。風邪のように誰にでも起こりうる。
  • 無理に朝型にしようとせず、自分のリズムに合わせて焦らずに過ごすこと。
  • スマホは悪いわけではないが、依存すると焦りを増す。
  • 代わりに「散歩」を取り入れることを提案。特に親と一緒に30分でも歩く。

「夜の散歩でもいい。会話しながら歩けば気分が晴れる」と伝えました。


5. 保護者へのアドバイス

後日、お母さんから「散歩を続けているが会話がなくなってしまう」と相談がありました。
私は保護者に以下の点を提案しました。

  1. 否定から入らない
  2. 相槌を多く打ち、子どもに話させる
  3. 自分の意見も少しずつ伝える
  4. 話題は子どものことを避け、社会情勢・趣味・芸能・仕事の愚痴などでも良い
  5. とにかく焦らない

「子どもと向き合う」というより、「一緒に過ごす」ことを重視するように伝えました。


6. 少しずつ変化していった姿

その後、彼女は徐々に学校に来られる日が増えました。

  • 最初は保健室登校が中心
  • 美術部にも定期的に参加
  • 中学3年の夏には教室に入れるように

時間が解決した部分もあるかもしれませんが、「焦らず付き合うこと」が大切だと実感しました。


7. 起立性調節障害と向き合うために

この経験を通して強く感じたことは、

  • 本人も家族も焦らないこと
  • 完璧を求めず小さな変化を積み重ねること
  • アナログな人とのつながりや会話を大切にすること

です。

起立性調節障害は「時間がかかる病気」です。
無理に治そうとせず、ゆっくり構えて寄り添うことが、子どもにとって一番の支えになると思います。


まとめ

起立性調節障害は、本人の努力不足ではなく「体の病気」です。
焦らず、少しずつ生活のリズムを取り戻していくことが重要です。
散歩や会話のようなシンプルな方法でも、子どもにとって大きな支えになります。

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